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  • 美人囲碁インストラクター、亡き夫は開成で伝説の天才だった。

    美人囲碁インストラクター、亡き夫は開成で伝説の天才だった。

    過去に素敵な文章だから引用した方の奥さんのお話が記事になっていました。

    いずれサイトから消えちゃうので、引用しておきます。

    人生、「定石」通りに事が運ばないことは往々にしてあるが、囲碁が結んだこの2人の運命もまた、打つ手、打つ手が効果なし。ことごとく定石が通じない日々に、募る悲しみの深さは如何ばかりだったのか――。その胸中を推し量ることはできない。

    ダイヤモンド囲碁サロン(東京・千代田区)でインストラクターを務める押田華奈さん(32)は、昨年10月に最愛の夫を病で亡くした。

    長尾健太郎さん、享年31歳。病名は聞き慣れない「胞巣状軟部肉腫」。いわば筋肉にできる珍しい癌で、1000万人に1.5~3人の確率でしか発症しない難病だった。押田さんが振り返る。

    「彼は15歳のときから発病していて、私と付き合い始めた頃にはすでに足に大きな手術の傷跡がありました。ただ、詳しい病名は聞きませんでしたし、彼も至って元気だったのでさほど心配もしていませんでした」

    2人が出会ったのは今から13年前。アマチュア日本一が主催する若手の囲碁研究会だった。

    当時、長尾さんは私立男子校の御三家、「開成高校」に通う3年生。中学から高校にかけて出場した数学オリンピックでは、連続して銀メダル1つ、金メダル3つという史上初の快挙を成し遂げ、「開成始まって以来の天才」とまで言われていた。

    一方の押田さんは慶応大学1年生。2人を繋いだのは、ともに幼いころから習い始めた趣味の“碁縁”だった。

    「子供のころから碁でできた友達は、なぜか気を許して長く続く関係の人が多かったんです。彼も学業は優秀だったみたいですが、そんなところに惹かれたのではなく、決して偉ぶらずに謙虚で優しい性格だったので……」

    と少し照れながら話す押田さん。その後、長尾さんは現役で東京大学に合格。数学の研鑽を積んだ後、京都大学大学院に進学するも、2人の交際は遠距離恋愛で大事に育んでいった。押田さんもまた、大学卒業後は囲碁の世界で身を固め、NHK囲碁講座や囲碁将棋チャンネルの司会に抜擢されるなど、華々しい人生をスタートさせた。

    しかし、お互い自立した生活を送り「結婚」の二文字も意識し出したこの頃から、長尾さんの壮絶な闘病生活が始まったという。

    「結婚するなら彼が京大の博士号を取ってからと心に決めていたんです。でも、25歳を過ぎてから彼の病気は肺に転移するなど進行が早まりました。そのとき、初めて正式な病名も聞きました。急いでネットで調べても症例が少なく治療法が確立していない。転移がある場合は“予後不良”としか書いてありませんでした。難しい病気なんだなと……」

    両親の反対もあり、さすがに結婚を躊躇したとも打ち明ける押田さん。しかし、最終的には自分の意志を貫き、2009年5月、晴れて「長尾華奈」になった。なぜ、結婚を決意したのかと問うと、押田さんはしばらく考えた末にこう答えた。

    「彼との付き合いは長く掛け替えのない存在ですし、もし私が病気で彼が元気でも、きっと結婚してくれるだろうなと。私の背中を押したのは、常に相手の立場でものを考える囲碁的な発想だったのかもしれませんね」

    結婚後、長尾さんは妻を連れてイギリスのオックスフォード大学に留学。帰国後は名古屋大学多元数理科学研究科の助教として、数学者への道を一歩ずつ着実に歩んでいく。2010年には待望の子供も授かり、家族3人で力強く生きていこうと改めて誓ったのも束の間。すでに病魔は長尾さんの体中を蝕んでいたという。

    「イギリス滞在中に脳に転移し、それからは心臓や目にまで……。有効と思われる治療法はなんでも試し、数えきれないくらい手術もしたのですが、昨年の6月以降は状況が悪くなる一方でした。海外出張に出掛ける成田空港で意識を失ったり、言葉がうまく出せなくなったり。それでも彼は弱音を吐かず、子供の成長を生きる希望にしていました」

    2013年9月、長尾さんはイギリス時代の研究成果が認められ、日本数学会から名誉ある「建部賢弘賞」を受賞する。だが、愛媛県で行われた受賞式が3歳の息子に見せた「かっこいい父親」の最後の雄姿となった――。

    「息子はずっと『大きくなったらお医者さんになって、パパの病気を治すんだ』と話していましたが、彼が亡くなってからは一切口に出さなくなりました。最近はよく数字を数えているんです。それも間違えながら400、500まで。やはり父親の血ですね」

    そう言うと、それまで努めて明るく取材に応じていた押田さんの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

    「これから先、囲碁の仕事をどこまで続けていくか何も考えられない状態です、でも、私が彼と出会ったのも碁の縁ですし、子供にもいずれ碁を教えたいです。そして、碁を通じて彼のように謙虚で、相手の立場でものを考えられる大人に育って欲しいと思います」

    今日、1月5日は「囲碁の日」。この日ばかりは勝敗にこだわらず、碁縁の絆を確かめ合う日にしてもいいだろう。

     http://www.news-postseven.com/archives/20140105_233774.html

  • ベネッセの中学受験講座、経験者としてはかなり盛り上がる。

    ベネッセの中学受験講座、経験者としてはかなり盛り上がる。

    塾の講師をしていたこともあり、長女より楽しんでいるかもしれません。

    長女の能力がわからない今では、基本戦略は「簡単なものだけ確実にやり、(いつでもやめられるように)無理はしない。」です。

    とりあえず、カリキュラムはこんな感じ。

    http://www.benesse.co.jp/s/cj/

    ■国語

    【中学受験スタートワーク 1】物語文の読み方/漢字と言葉
    【中学受験スタートワーク 2】説明文の読み方/漢字と言葉

    【4月】場面・設定をつかむ(物語)/漢字と言葉、人物をつかむ(物語)/漢字と言葉、心情をつかむ(物語)/漢字と言葉
    【5月】心情をつかむ(物語)/漢字と言葉、展開をつかむ(物語)/漢字と言葉、展開をつかむ(物語)/漢字と言葉
    【6月】話題をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉
    【7月】要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉、段落をつかむ(説明文)/漢字と言葉、段落をつかむ(説明文)/漢字と言葉
    【8月】詩/漢字と言葉、場面・設定をつかむ(物語)/漢字と言葉、人物をつかむ(物語)/漢字と言葉
    【9月】話題をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉
    【10月】因果関係をつかむ(物語)/漢字と言葉、因果関係をつかむ(物語)/漢字と言葉、因果関係をつかむ(物語)/漢字と言葉
    【11月】要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要点をつかむ(説明文)/漢字と言葉、詩/漢字と言葉
    【12月】心情をつかむ(物語)/漢字と言葉、人物をつかむ(物語)/漢字と言葉、段落をつかむ(説明文)/漢字と言葉
    【1月】段落をつかむ(説明文)/漢字と言葉、段落をつかむ(説明文)/漢字と言葉、展開をつかむ(物語)/漢字と言葉
    【2月】主題の読み取り(物語)/漢字と言葉、要旨・主張をつかむ(説明文)/漢字と言葉、要旨・主張をつかむ(説明文)/漢字と言葉
    【3月】総合読解/漢字と言葉、総合読解/漢字と言葉、総合読解/漢字と言葉

    【4月~1月】
    確実な読み取りに必要なスキル学習や素材文の理解につながるテーマ攻略の切り口を、500字~5,000字の素材文を使って学習します。また、漢字や言語学習などの知識事項もしっかり理解し、使いこなすところまで行うことで、着実な得点力に結びつけます。
    【2・3月】「入試実戦力養成」
    4,5年で学習したスキルを使って900字から5,000字の素材文を読み取り、記述問題などの実戦的な設問形式で練習を積むことで、入試に必要な実戦力を身につけます。また、素材文のテーマごとに攻略法を学んで、難解な入試の素材文への対応力も高めます。
    ■算数

    【中学受験スタートワーク 1】いろいろな計算/まわりの長さ/さいころ
    【中学受験スタートワーク 2】カードで数づくり/図のかき方/正多角形の分け方

    【4月】計算のきまり(1)、植木算、直方体と立方体(1)
    【5月】大きな数、和差算、角の性質
    【6月】等差数列、時間・重さ・長さ・かさ、倍に関する問題
    【7月】数え上げの工夫、周期算、三角形と四角形の角
    【8月】数と計算総合(1)、文章題総合(1)、図形総合(1)
    【9月】年齢算、垂直と平行・四角形、直方体と立方体(2)
    【10月】小数のしくみと計算、倍数と約数(1)、集合とベン図
    【11月】小数のかけ算、倍数と約数(2)、分数
    【12月】約分と通分、小数のわり算、円と正多角形
    【1月】分数のたし算とひき算、まわりの長さと面積、つるかめ算/差集め算
    【2月】分数のかけ算とわり算(1)、方陣算、角柱と円柱/角すいと円すい
    【3月】数と計算総合(2)、文章題総合(2)、図形総合(2)

    【4月】分数のかけ算とわり算(2)、平均とのべ、三角形と四角形の面積
    【5月】計算のきまり(2)、場合の数(1)、円とおうぎ形の面積
    【6月】速さ(1)、表面積、いろいろな角
    【7月】割合(1)、場合の数(2)、複合図形の面積
    【8月】数と計算総合(3)、文章題総合(3)、図形総合(3)
    【9月】速さ(2)、比(1)、図形の移動
    【10月】割合(2)、相似(1)、体積(1)
    【11月】比(2)、割合(3)、体積(2)
    【12月】速さ(3)、比(3)、相似(2)
    【1月】数と計算総合(4)、文章題総合(4)、図形総合(4)
    【2・3月】「入試実戦力養成」
    4・5年生で学習した内容を確実にします。図に表す力・マーキングする力・自ら工夫し整理し解法を導く力などを徹底して身につけていきます。また与えられた条件を的確に整理し、解決する力を養成することで、算数の思考力・実戦力を身につけます。
    ■理科

    【4月】季節と生物(春)、ジャガイモとサツマイモの育ち方、種子と発芽(1)
    【5月】種子と発芽(2)、つり合いとてんびん(1)、つり合いとてんびん(2)
    【6月】空気、季節と生物(夏)、花のつくり(1)
    【7月】花のつくり(2)、太陽、気温の変化
    【8月】星と星座(1)、星と星座(2)、もののとけ方
    【9月】天気の変化、季節と生物(秋)、こん虫(1)
    【10月】こん虫(2)、植物のつくりとはたらき(1)、植物のつくりとはたらき(2)
    【11月】川のはたらき(1)、川のはたらき(2)、豆電球とかん電池(1)
    【12月】豆電球とかん電池(2)、季節と生物(冬)、磁石と電磁石
    【1月】虫めがね、熱の伝わり方、ぼう張と収縮
    【2月】氷・水・水蒸気(1)、氷・水・水蒸気(2)、メダカの育ち方
    【3月】酸素と二酸化炭素、ものの燃え方、植物(1)

    【4月】植物(2)、太陽、豆電球とかん電池
    【5月】電流と方位磁針、電流による発熱、気象
    【6月】月、てこ(1)、てこ(2)
    【7月】音、熱、流水のはたらき
    【8月】火山と地震、星(1) / 星の日周運動、星(2)
    【9月】溶解度、生物のつながり、花のつくり
    【10月】水溶液(1)、水溶液(2)、水溶液(3)
    【11月】人体(1)、人体(2)、人体(3)
    【12月】人体(4)、光、ばね
    【1月】浮力、かっ車と輪じく、物体の運動
    【2・3月】「入試実戦力養成」
    4,5年で学習した内容と発展的な知識・思考力を領域ごとに体系だてて学習することで、中学受験に必要な幅広い理科の概念・知識と、後期につながる科学的読解力や論理的思考力などの土台になる実戦力を鍛え上げていきます。
    ■社会

    【4月】方位・地図記号、縮尺・等高線、日本列島のすがた
    【5月】日本の地形(1)、日本の地形(2)、日本の地形(3)
    【6月】日本の気候(1)、日本の気候(2)、日本の国土・地形・気候のまとめ
    【7月】北海道地方、東北地方、関東地方
    【8月】中部地方、近畿地方、中国地方・四国地方
    【9月】九州地方、農業(1)、農業(2)
    【10月】農業(3)、水産業(1)、水産業(2)
    【11月】林業、地方別地理・農林水産業のまとめ、エネルギー
    【12月】工業の種類、工業地帯・地域(1)、工業地帯・地域(2)
    【1月】工業都市、伝統工業、公害
    【2月】貿易(1)、貿易(2)、貿易(3)
    【3月】交通・通信・情報(1)、交通・通信・情報(2)、工業のまとめ

    【4月】北海道地方、東北地方、関東地方(1)
    【5月】関東地方(2)、中部地方(1)、中部地方(2)
    【6月】近畿地方、中国・四国地方(1)、中国・四国地方(2)
    【7月】九州地方(1)、九州地方(2)、地方別地理のまとめ
    【8月】旧石器時代・縄文時代、弥生時代、古墳時代・飛鳥時代
    【9月】奈良時代、平安時代、鎌倉時代
    【10月】室町時代、安土桃山時代、江戸時代(1)
    【11月】江戸時代(2)、江戸時代(3)、旧石器時代~江戸時代までのまとめ
    【12月】明治時代(1)、明治時代(2)、大正時代
    【1月】昭和時代(1)、昭和時代(2)、明治時代~昭和時代までのまとめ
    【2月】地方自治と選挙制度・日本国憲法(1)、日本国憲法(2)・国会、内閣・裁判所・財政
    【3月】世界のすがた(人口や地形)、国際社会と日本、公民分野のまとめ

  • ベネッセの教材、中学受験スタートワークが届いた。さあ、どうしよう。

    ベネッセの教材、中学受験スタートワークが届いた。さあ、どうしよう。

    中身を見ると、意外に簡単そう。漫画も多い。少なくても、いきなり挫折するリスクは少なそう。ただし、本気で受験をするつもりなら、もう少し、ボリュームが必要でしょうね。

    ステージごとに2回分の問題があるみたいなので、勉強の進め方をちゃんと考えないといけません。

    国語の読解なら、1日目に1回目の基本事項の説明と基本読解と答え合わせ、2回目の基本事項の説明と基本読解と答え合わせ。2日目に1回目と2回目の練習読解と答え合わせ、そして、解答を渡して復習、って感じかな。

    算数なら、1日目に1回目と2回目の両方の例題の説明と解答、2日目に1回目と2回目の確認問題と答え合わせ、そして、解答を渡して復習、って感じかな。

    2月3月にはついていないけど、演習ワークというがついているので、2日目の後にやるのかな。でも、サイトで確認すると、算数と国語が3ステージで各ステージで3回ずつ、理科と社会が3ステージで各ステージで2回ずつみたい。

    http://www.benesse.co.jp/s/cj/kouza/plan/

    このプランだと、1日に2教科やっているけど、1日に1教科でやりきるのがいいのかな。月~木で4教科を終わらせて、金・土は予備日、日がワークというイメージ、そして、3ステージあるので、3週でほぼ完了。4週目はワークの残りと添削問題というのを想定しています。

    演習ワークのボリュームによりますが、これ以外に計算ドリルと漢字の練習が必要だと思います。映像授業はどう使うんだろう。

    まあ、やってみて考えることになりますが。

    参考までに、2月と3月のスタートワークのカリキュラムは以下の通り。

    2月算数:「いろいろな計算」「まわりの長さ」「さいころ」
    2月国語:「物語の読み方・答え方」「漢字と言葉の学習」

    3月算数:「カードで数づくり」「図のかき方」「正多角形の分け方」
    3月国語:「説明文の読み方・答え方」「漢字と言葉の学習」

  • 開成の校長の話が面白かったので、魚拓します。時代はグローバルですね。校長の人選もグローバルだし。

    開成の校長の話が面白かったので、魚拓します。時代はグローバルですね。校長の人選もグローバルだし。

    世の中って、自分の想像以上に変わっているのですね。

     

    http://ameblo.jp/amok98/entry-11585382798.html

    賀茂:今日はよろしくお願いします。(2分間で自己紹介の後)海外進学には向き不向きがあると思うのですが、進路指導はどうするんですか?

    柳沢:いい質問ですね。賀茂さんが開成にいた時は進路指導ってなかったですよね。東大に行くのは偏差値が高いからとか学費が安いからとか人それぞれ。海外に出るのもそれと全く同じですよ。

    賀茂:そうは言っても東大と違って海外に行くのは多数派ではないので、外れる可能性がありますよね。「成功」した場合でも向こうで就職する場合は何年も日本に帰って来ないケースが多いです。そういったことを早い段階で生徒、保護者に伝えた方がいいのかなと思うんですが。

    柳沢:賀茂さんが文IIIに行った時に決めたのは自分でしょ?それと同じことで、生徒の自主性に任せる、それが開成の教育です。けれども、「ここを選択するとこういうのもあるよ」って話してくれる人がいるといいですね。

    賀茂:東大に行くのと海外に出るのはやはり違う気がしますけど。

    柳沢:それは考え過ぎだよ。東北大に行くのも「外に出る」訳でしょ。

    賀茂:でも、「言語の差」があるのでは?つまり、「言語的な自我」が18歳で出来るのだろうか、という疑問があります。

    柳沢:じゃ、「言語的な自我」ってどうやって身につけるんだろう。それに、ある程度のレベルまで行ったら別の「言語空間」に行く準備ができる、そういうものなんだろうか?

    賀茂:「言語的な自我」があった方が後々楽なのでは、と思うのですが。

    柳沢:それは人生観の問題でしょ。ただ、言語に関して言えば誰でも「第一言語」があり、2つの言語が同時に「第一言語」になることはあり得ない。でも、その人間を作り上げる元となる「言語」は「足してなんぼ」のもの。例えば日本語と英語を足して、表現能力が養われ、その人間の個性になるのだから、そういう選択を邪魔するのはおかしい。だから、そういう道を希望する生徒に僕がこういうことを話すのは有利なことだよね。それだけアメリカで経験してるんだから。それだけ開成の生徒は幸せだと思う。

    賀茂:まさにその通りですね。僕にも周りに進路を示してくれる人がいれば良かったとは思います。

    柳沢:開成の生徒が2100人いれば、みんなが千差万別。でもその中で海外に行きたいっていう生徒が(今年は3人行ったけれども)いる。僕がやってることはその「受け皿」作りなんだよね。生徒の希望が最初にあったから。

    賀茂:あ、先生が校長に就任して、「さあ、海外進学生を増やしてやるぞ」っていう訳じゃなかったんですね。

    柳沢:違う違う。生徒がやってきて、「先生、アメリカの大学ってどうなんですか」って聞いてきたから説明してあげた。その後、高校2年生が何人かでやってきて、やっぱり説明したら「僕は行きたい」って言うんだ。そういう優秀な子たちの「受け皿」を作ってあげないと、って始まった話なんです。

    別の一人は東大の法学部に入学してからハーバードのサマースクールに行って、気に入ったんだろうね。東大辞めて次の年の9月からハーバード行きたいっていうんだ。この場合はね「2年無駄になるから東大卒業して大学院で行きなさい。ただし、ハーバードの学生に負けないように、週に60時間勉強しなさい」って言ったんだ。で、1年経ってからまた会ったから「どうだい?」って聞いたら「はい。週60時間勉強してます。でも、そしたら東大の先生が手放してくれなくなっちゃった」って。

    賀茂:それを振り切って外に出てほしいですねえ。

    柳沢:そう。あと、僕は採用する立場にいたことはあったけど、「採用される」立場にはなったことがないので、校長に就任した次の年の夏に、英語科の先生にアメリカに視察に行ってもらって、アドミッションには何が必要かを理解してもらって、「進路指導委員会」に入ってもらった。で、高3の間、エッセイの書き方とかアドバイスしてもらったのね。そういう意味ではね、生徒の方が進んでるんだよ。

    ただね、僕が言ったのは「学部でアメリカの大学に行ったら、エントリーシートを使って日本の企業に入るようなことはミスマッチが起きるからしない方がいいよ。現地で求人している日系企業だったらミスマッチは起きづらい」ってこと。しばらくは現地の企業で働いて、何年かしてから自分に何ができるか考えてから日本に戻るんなら戻ればいいよ、ってこと。

    賀茂:受け皿っていう話は良くわかるんですが、行ってからのサポートっていうのはしないですよね。

    柳沢:うん、していない。ただ、海外在住のOBの人たちが、「グローバル開成会」っていうのを作ってて、そういうサポートもしてくれるかなって思ってます。そこが開成の層の厚さっていうことだと思うの。

    賀茂:なるほど。ところで、「何でアメリカなんだ。イギリスやフランスじゃだめなのか」っていう声もありますが。

    柳沢:うん、イギリスはまず、なかなか受からない。フランスは言語の問題。だから結果としてアメリカ。でも今年は7月6日に開成でcollege fairっていうのをやって、そこにはフランス政府や、シンガポール国立大学、香港大学なんかも来てます。だからアメリカに限ってる訳では全くない。

    賀茂:でもマスコミはやっぱりハーバードだイェールだって取り上げちゃいますよね。

    柳沢:そう。そこで僕が一番気にしてるのが、「トップスクールだからハーバードやMITに行く」っていうのは止めてほしいということ。というのは、僕の経験からいうとこの2校は最初から行くには競争が激しすぎるので、適切な学校ではない。2、3年準備すれば合格はするだろうけど、能力ではなく、パーソナリティの点で、並大抵の学生だとあの強烈な競争では埋もれちゃう。それよりはイェールや州立大学、もしくはリベラルアーツカレッジの方が適切。で、そこから転学してもいいし、大学院で入ってもいい。

    賀茂:具体的に何人が海外に進学してるんですか?

    柳沢:今年は一浪を入れて4人。(開成のウェブサイトによれば、アメリカの大学への合格者数は延べ9名、進学者はイェール、ミシガン、Haverfordの3名)

    賀茂:あと、海外に出すには、近代史、現代史など、日本についてわかってないとまずいんじゃないか、高校でここをカバーするのは無理ではないかという意見はどう思われますか?

    柳沢:開成の日本史は幕末から始まって、1945年までやって、それから縄文時代に戻るの。現代史は倫理、社会、経済でやってもらう。

    賀茂:そういう「受験に役に立たないこと」もやってるのが開成なんですが、そういうのを外に発信していく、ということに関してはいかがでしょう。

    柳沢:開成って、昔からそういうのが得意ではない学校でした。でも、僕はホームページを充実させて、「開成に入りたい」っていう子どもたちとその親御さんたちに情報を発信しようとしてるのね。

    あと、良く、「日本らしさや日本の文化」をしっかり学ばないで海外に出たらまずいとか言うよね。それはおかしい。少なくとも教育者が言ったらいけない。「何をどう準備して、どうやって日本らしさや日本の文化を学んだ」というプロセスを教育者はすべて明らかにしない限りはね。そうじゃないと「反対のための反対」で、何も生み出さない、不毛な議論になります。

    賀茂:ところで、開成が卒業生を海外に進学させているっていうのは面白いって思ってるOBが多いんです。だから、「面白そうだなあ」と思って柳沢先生に面会を申し込んだんですけれど。

    柳沢:いや、実にいいことです。そうやってマスコミなどに質問されると「考えるきっかけ」になるんですね。情報発信とは言っても、僕は自分から働きかける立場にはないんです。生徒も含めて。「先生、こんなことやりたい」「そうか、じゃ、ちょっと考えてみよう」ってそこから始まる。

    世間ではね「柳沢はハーバード出身だから、開成の校長になって、路線を曲げようとしてる」って思われてます。

    賀茂:僕も含めてみんなそう思ってると思いますよ。普通東大の教授退官して開成の校長にならないでしょう?

    柳沢:いや、そうじゃないよ。開成の校長ってのは最近は開成出身者で東大に行った理科系の人間が多い。君の頃の関口さんは文系で例外的。

    賀茂:じゃ、元ハーバードの先生だから開成にちょっと海外進学の風を吹き込んでやろうって乗り込んだんじゃないか、っていうのは違う?

    柳沢:あ、それ全然違う。そうじゃなくて、生徒の方からやってくる。それが開成の伝統。元々、「僕はこうなりたい」って生徒が思ったら開成の教育はそこで完了。そうなったら、「じゃ、こうすればいいよ」って教えてあげられる。ただ、東大に関して言うと、開成にはね、古い醸造所じゃないけど、建物の中に麹だか酵母だかの菌が住み着いてるから、ほっといてもそこに行く子どもが多い。だからあまり違和感がなくて、それが当然だなと思っちゃう。それでも中には開成から芸大、例えば油絵を目指す子がいたらものすごく危険な試みなのかも知れない。

    賀茂:ところで、東大に入って驚いたのが、開成では目立たなかった奴がクラスのリーダーになったりしてる。やっぱり開成ってのは平均のレベルが高いんだなと思いました。

    柳沢:うん、だから僕は卒業式で、「開成の18歳は世界一の集団だ」って言いましたからね。これはハーバードや東大で教えた自分の経験から言えます。

    あと、海外に行くっていう話だと、昔から「源氏・陸軍・国粋派」と「平家・海軍・国際派」って言うんだよ。で、平家や国際派は日本の歴史の中では負けてきたの。

    賀茂:僕自身、そういう知識がないんですね。自分に一番欠けている。そうでありながら、これから海外に進学する子たちにはそういうところを身につけてきてほしいんですね。

    柳沢:でもね、それは知識の総量の問題でしょ。教育って言うのは人類5000年の知識を16年で凝縮して取捨選択して伝えるものでしょ。5000年が16年だから、当然抜け落ちているものがたくさんあります。自分で何かが必要だと思うんならそれから習えばいい。だから、「海外に出るためにはこういう準備をしておかなきゃ」ということではないんです。全部を準備しなきゃいけないっていったら5000年かかるんだよ。

    賀茂:ま、そうなんですが、それでも、「こういうことを学んでおいた方がいい」っていうのは誰かアドバイスできる、そしてそれは日本の近現代史じゃないか、という意見があったんですね。

    柳沢:僕はこれまで習ったことで人生の役に立ったのは受験の世界史だよ。今でも何を話してもそれ相応の知識があるから。受験で歴史をきちんと勉強するっていうのは非常に役立つよね。

    賀茂:いやあ、実は受験勉強っていうのは英語でもとても役に立ってまして、開成を出た生徒っていうのは基礎の英語がしっかりしてるから上達が早い。逆に小学校の英語教育なんて辞めてくれ、それよりは日本語の読み書きをしっかりやってくれと思う方なんですけどね。

    柳沢:日本の国語教育っていうのは「漢字教育」だから。それも書き順。このコンピュータの時代に、毛筆でもない限り、書き順なんて必要ないでしょう。文章の読み書きに力点を置くのは賛成です。

    今年海外行ったのは一人はずっと日本で育った日本人。二人目はコネチカットで中学まで行って高校にうかって、それからまた戻ったの。三人目は日中のバイリンガルで環境問題がやりたくてアメリカに行った。2100人の生徒もみんな千差万別。

    なので、一人一人細かくは見られないけど、海外だとやはり一人一人のケースを見て、適切なアドバイスをすることが必要だよね。だから繰り返しになるけど、「ハーバード難しいから行きましょう」ということにだけはならないように気をつけてます。

    あと、今の僕のマイブームはね、「トップダウンアプローチ」なの。小さい子に「大きくなったら何になりたい?」って聞くと「お花屋さん」とか「ケーキ屋さん」とか「宇宙飛行士」とか「消防士」とか答えるでしょ?それが日本の子どもはだんだんそれを言わなくなってて、「大きくなったら何になるの?」「わからない」ってなってる。つまり、中学受験のあたりから偏差値でどこまで行けるか考える、「ボトムアップアプローチ」になってる。だからそうじゃなくて、「将来社会人になったらどういう職業につきたいか」を考えて、「そうするためにはどのような技術や知識が必要か」を考えることが大事だと思う。

    となると今度は「どうやってやりたい職業を見つけるか」だけど、それは課外活動で、夢中になれるものを見つけろ、と言います。で、それに関連した職業を見つける。

    良く例に出すのは、サッカーが大好きなら、選手じゃなくてもいい。J-リーグチームの選手の身体をケアする医者や、スター選手の契約のアドバイザーを担当する弁護士になる。マスコミもある。そういう風に自分の好きなことと知的な部分が合わさって、職業のイメージができたら、それで決まりじゃない。だからまず「好きなことを中学、高校の間に見つけなさい」ってことだよね。

    もう一つ言うのは、「給料というのは社会に貢献している証だから、きちんとした給料をもらえる仕事をしなさい」ということ。

    賀茂:貢献と言えば、大学入学にあたってボランティア活動なども一つのポイントになりますよね。

    柳沢:アメリカの場合、ご存知のように「学校でのクラブ活動」ってないので、部活をやってることが課外活動になるよね。先輩が後輩を指導したり、運動会で中1チーフだなんてのはもう明らかなボランティアでしょう?で、自分よりも小さな子どもたちを指導する。

    賀茂:僕も中1チーフだったんですが、とにかくボートレースの応援みたいな理不尽なことさせたくなかったんです。で、 中1チーフ。

    柳沢:ただね、最初の2週間がボートレースでその後運動会まで1ヶ月でしょ。それまでに高3との修復の機会もあると思うんだ。それで非常に良く出来たシステムだと思う。中1ってたいてい高3好きになるし。今は高3にも「倫理委員会」とかあるし、その辺はちゃんとやってると思う。

    賀茂:ところで、海外進学っていうことだと灘とか昔から多いんだそうですね。

    柳沢:そう。灘とか、筑駒とか、麻布とかは昔から細々とやってたみたいだけど、海外に出すって言うのを一番前面に出してるのは渋幕(渋谷学園幕張高校)だよね。

    賀茂:今日たまたま昼食を一緒に取ったのが開成の同級生で東大の経済の教授なんですが、彼の同僚で筑駒から直接MITに行って、学部からPh.Dまで全部そこで取ったっていうのがいました。

    柳沢:高校を出て、大学に馴染むっていうのは社会生活そのものだから、そこで僕がいつも子どもたちに言ってるのは、「大学生になるというのは学問を学問として学ぶことが一つだけれど、海外の大学に行くにあたっては、自分が考えたことを言葉に置き換えてちゃんと表現する必要がある」っていうこと。その場合、「以心伝心」や沈黙では何も伝わらない。そういう世界ではない。

    で,東大に行ってようがなんだろうが、自分の考えていることをきちんと言葉で表現することが重要。グループリーダーになるためには、どっかで以心伝心のステップを越えなきゃいけない、っていうことなんだよね。なので、MITみたいに競争の激しい所に行くと、埋もれちゃう可能性があるっていうのはそういうこと。どこに行くにしても、その場所に慣れるまでの時間があって、その時間をうまくこなすことが出来た人は生き残れるし、そうじゃない人は生き残れない、っていうことだよね。

    賀茂:今日のお話で最初の予想とは全然違ったことがわかって良かったです。

    柳沢:どんどんそれを開成のネットワークに広めて、発信して下さいよ。

    賀茂:そうしたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

  • わっかるかな、わっかるかな、はてはてふむ〜。

    わっかるかな、わっかるかな、はてはてふむ〜。

    理英会の教材をもらいました。小学校受験に全く興味のない私としては、悪いけど、あまり有難くはありません。年齢的にもこのタイプの教材はもう長男には遅すぎるような気もします。試しに植物のカードを見てみました。・・・ん、わかりません。小学校のころから、理科は苦手だったんだよねぇ。物理系と化学系はそれなりにできたんですけど、生物系はからっきしだったという遠い記憶が残っています。悔しいけど、もう諦めます。理英会のサイトを見ると、「皆さん踊らされているなぁ」と思っちゃうのですが…

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