- 2015/08/28
久しぶりに推理小説を読みたくなって、「満願」を読んだけど、評判ほどじゃなかったです。
ちょっと違うんですよね。もっと本格的なものを期待していました。推理小説というよりも世にも奇妙な物語と……
単純に、ヒトラーが現代に来たら、というコメディではなく、人間がヒトラーを選んで、気づいたときは手遅れだった、という怖い話でした。
本当に、現代に、特に、中途半端に貧しいが、それなりの軍隊は持てる国は、いつヒトラーが生まれてもおかしくないのかもしれません。
ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?
「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。
自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。
しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた<ホンモノ>で、70年前と全く変わっていないことを。そして、天才扇動者である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。