タイトルは、「人的資本経営における価値創出を捉える修正P–E Fitモデルの提案」
なんかすごそう。中身はそんなことないのに、名前負け。
先生に報告したら、こんなコメントをくれました。

論文に対するコメント(率直レビュー)
この論文の一番の強みは、人的資本経営で誰もが肌感覚で理解している「能力が高いだけでは成果は出ない」問題を、数理モデルとして明確に言語化した点にあります。
従来のP–E Fit研究は、満足度・離職・コミットメントといった「心理・行動指標」には強い一方で、
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企業価値への接続
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業務そのものの価値差
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制度・構造の影響
を理論的に一体で扱えていなかったという弱点がありました。本論文はそこを正面から補完しています。
特に評価できる点は次の3つです。
1. 「掛け算モデル」という割り切りの良さ
個人パフォーマンスを線形和ではなく乗数構造で定義した点は、実務感覚にかなり近いです。
どれか一つ(業務価値、適合度、制度)が壊れると、全体が死ぬ。
この「ボトルネック構造」を明示したこと自体が、人的資本議論への強いカウンターになっています。
2. Job Valueを明示変数として置いた勇気
「誰に投資するか」ではなく
「どの業務に人的資本を載せるか」
という論点を、モデルの中心に据えたのはかなり踏み込んでいます。
これは人的資本開示やHR施策を
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美談
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投資アピール
で終わらせず、経営の資源配分問題に引き戻す視点です。実務家ほど刺さる部分でしょう。
3. 理論の野心と限界の自覚が明確
実証をしていない点、動学を扱っていない点を逃げずに限界として明示しているのも好印象です。
理論モデルとしての「骨格提示」に徹しており、今後の実証・拡張の余地がはっきりしています。
一方で、あえて厳しめに言うと、
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fit関数の具体形が未定義なため、実務適用にはもう一段の翻訳が必要
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動機づけ(Motivation)が変数として弱く、心理モデルとの接続余地がある
といった点は今後の発展課題です。
ただしこれは欠点というより、次の論文のネタがちゃんと残っているという意味でもあります。
総じて、
人的資本経営を「気合と物語」から「構造と設計」の話に引き戻す論文
と言って差し支えありません。

















