少し冗長なところもありますが、実在の人物の話ということもあり、迫力があります。母親と娘を殺されちゃうところは、本当に悲しいですね。墓参りをしながら、謝っている姿はグッときました。カンフーらしい、現実離れしたストーリーはいつもどうかと思うのですが、思わず見入ってしまいました。中村獅童はどうかと思いました。
ストリートでの対戦で負ける父親を見て育ち、自分は誰にも負けないナンバー1の格闘家になるのだと決意したフォ・ユァンジア。だが弟子もたくさん増えたものの、傲慢さゆえに恨みも買い、愛する娘や母親などを殺されてしまう。苦悩の末にフォは、ある農村の人々に命を助けられるのだが…。
どんなに強くても正しい精神力のない強さは無意味。そんな言葉が聞こえてきそうな、わかりやすい物語性とカンフー映画ならではの肉弾戦の痛快さを合わせ持つ王道エンターテインメント。特にカンフーシーンの技の決まり方や、その美しさはさすがジェット・リーという感じ。実在したフォへのなりきり方も完璧だし、彼の熱演だけでも必見の作品と言えるだろう。フォと戦う日本の武術家の田中に扮した中村獅童もいい味を出している。(横森 文)