勝ち負けがはっきりした世界って、きっとこんなプレッシャーがあるんでしょうね。でも、ちょっとわかりにくいかな。特に、庶民の私には。

『ブラック・スワン』あらすじ(ネタバレあり)
バレエ団に所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、完璧主義で“白鳥”のように正確で繊細な踊りが武器。芸術監督トマ(ヴァンサン・カッセル)が次の演目『白鳥の湖』で、清純な白鳥と妖艶な黒鳥を一人で踊り分ける新プリマを探していると知り、ニナは抜擢される。
ただし、ニナは白鳥は完璧でも、黒鳥の「欲望・解放・悪」には届かない。ライバルのリリー(ミラ・クニス)は奔放で黒鳥向き。トマはニナに“殻を破れ”と迫り、母親(バーバラ・ハーシー)は過保護に支配し、ニナは板挟みで精神が削れていく。
やがてニナは、身体の傷(かきむしり)、幻覚、二重人格めいた自己像に侵食され、現実と妄想の境界が崩壊していく。
本番当日、ニナは“黒鳥になる”ことに成功するが、その裏で彼女は自分(あるいはリリー)を刺したような出来事が起きる。最終的に、刺した相手はリリーではなく自分自身だった可能性が濃厚で、ニナは流血しながらも舞台を完遂し「I was perfect(完璧だった)」と言い残す——成功と自己崩壊が同時に達成される、後味の悪いカタルシスで終わります。
世間一般の反応
ざっくり言うと 「評価はかなり高いが、好みは割れる」。
-
Rotten Tomatoes:批評家 85%/観客 84% と高評価。特にポートマンの演技とアロノフスキーの演出の“過剰さ”が刺さった人が多い。
-
Metacritic:メタスコア 79、ユーザースコアも高め。
賛:演技・緊張感・身体表現が凄い/ホラーより怖い“心身の崩壊”
否:痛々しすぎる/妄想演出が多くて疲れる/胸糞系が合わない
私の評価(率直)
傑作寄り。気持ちよさはゼロ、効き目は強い。
-
良い:芸術(完璧)への執着が、自己破壊として完成する設計がえげつない。映像も音も「逃げ場がない」作りで、観客の神経を削ってくる。
-
好みが分かれる点:物語の整合性より“体感”を優先してるので、理屈で回収したい人はイラつく。あと単純に痛い(物理的にも精神的にも)。
この映画が好きな人におすすめの映画
「自己崩壊」「二重化」「現実が崩れる」「芸術/執着」寄せで。
-
『パーフェクトブルー』(今敏)
自己像の分裂・妄想の侵食の“元祖級”。 -
『レクイエム・フォー・ドリーム』(アロノフスキー)
執着と破滅を容赦なく描く。同監督の“耐久レース”。 -
『ザ・レスラー』(アロノフスキー)
「身体を削って表現する」側の悲劇。黒鳥の別角度版。 -
『マルホランド・ドライブ』(デヴィッド・リンチ)
現実の縫い目がほどけていく感じが好きなら刺さる。 -
『セッション』
“完璧”に取り憑かれる地獄の種類が近い(ジャンルは違う)。

コメントを残す