- 2017/01/25
Wiz、こんなチープな映画ははじめてみました。とてもメッセージ色の強いイイ話なのに、台無しにしちゃいました。
興業的にイマイチだった理由は見ればわかります。客が入るとは思えません。 でも、マイケル・ジャク……
すごく、いい話でした。地動説を題材に、弾圧に負けずに真理を究めようとする人間の姿を純粋に応援するしかなかったです。
ラファウの決断にはびっくりしました。
そして、ノヴァク。司祭の言うことを信じて拷問を続けていて、最後に自分が悪役だったと気づくだなんて、かわいそう。っていうより、自分のアタマで考えないとこうなるんでしょうね。そういう人は多いと思いますが。
舞台は15世紀のP王国。教会が人々の心や科学までも支配している時代で、教会の教えのなかで最も大切なひとつが、地球が宇宙の中心でその周りを惑星が動いているとする『天動説』だった。『天動説』がこの世の真理だとされ、その教えに背く者は『異端者』というレッテルを張られ、激しく弾圧された。
■あらすじを転記
舞台は15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ。彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた神学を専攻すると宣言。が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。 ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。
フベルトの提唱した「地動説」は少年ラファウに大きな衝撃を与える。その考えが教会に対する異端思想であると頭では理解しつつも、知的探究心は抑えられない。そんな折、フベルトは傭兵上がりの異端審問官・ノヴァクに捕らえられ、あえなく処刑されてしまう。彼が死の間際にラファウに託したのは、天体を模したペンダントだった。ラファウはそれに秘められたメッセージを読み取り――。
処刑されたフベルトの異端思想――「地動説」をラファウが受け継いだと察知したノヴァクは、義父のポトツキに揺さぶりをかける。ポトツキもまたかつて地動説に魅了され、捕縛された過去を持つ異端者だった。ポトツキの裏切りにより捕縛されるラファウ。「地動説を捨てれば全て赦される」――裁判所で選択を迫られたラファウは、信じられない行動を取る。
ラファウの死から十年後――。代闘士のオクジーは気乗りのしない仕事で日銭を稼いでいた。同僚のグラスは天体を観測し、ある法則を見出すことに生き甲斐を感じているが、オクジーは現世に希望を見出せず、早く天国に行くことだけを願っていた。 ある日、彼らは一人の異端者を護送する任務を負うことになる。その異端者の言葉に警戒心をもつオクジー、一方徐々に心を動かされていくグラスだったが――。
異端者の言葉に感化されたグラスは任務を放棄し、ノヴァクと敵対する事態に。巻き込まれる形となったオクジーは、異端者の決死の行動に衝撃を受ける。命からがら逃げ延びたオクジーとグラスは異端者の言葉に従い、山奥で古びた石箱を発見。この中身の価値を知り得る人物に心当たりがある、とグラスは言う。 オクジーは元の生活に戻ることを望んでいたが、ある事態が彼に否応なく決断を迫ることになる。
異端者とグラスの両者から「想い」を託されたオクジーが訪ねたのは、村外れの教会に住む修道士のバデーニ。彼は優秀ではあるが独善的で、とある思想上の禁忌に触れたことで街の修道院を追放された身だった。下級市民であるオクジーの言葉を信じようとしないバデーニだったが、この辺境で一生くすぶっているよりはと山奥へ向かう。石箱の中身に触れたバデーニは、あまりの衝撃に予想外の行動を見せる。
石箱の中身は禁忌とされる「地動説」に関する資料だった。バデーニはこれを証明すべく、より多くの観測記録を持つ者との接触を図るため街へと向かう。 一方、街の天文研究所で働くヨレンタは、優秀だが女性であるという理由だけで研究員として扱われず、雑用係に甘んじていた。そんな折、街の掲示板にとある問いが出題されているのを見る。それは天文に関する問題で。
天文に関する難問を解いたヨレンタに接触するバデーニとオクジー。「自分が書いたものではない」と否定するヨレンタだったが、バデーニは彼女の聡明さを見抜いていた。「地動説」の共同研究を持ち掛けるバデーニに対し、揺れ動くヨレンタ。彼女の迷いの理由はそれが思想上の禁忌であることだけでなく、天文研究所の所長であり天文学の権威・ピャスト伯の存在が影響しているようなのだが――。
天文研究所の所長・ピャスト伯は、先代の教授から受け継いだ「完璧な天動説の証明」に残り少ない命を捧げていた。天体の観測記録を提供して欲しいというバデーニらの申し出を一度は断るピャスト伯だが、ある条件を理由に承諾する。その条件とは、彼がかつて観測したという見えるはずのない天体――「満ちた金星」を観測することであった。大任を担うことになったオクジーはその重責に耐えられるのか。
ピャスト伯の死から数ヶ月――バデーニは膨大な観測記録を基に「地動説」の完成に没頭し、オクジーはヨレンタから文字を教わり自身の心境を綴るようになる。が、バデーニはオクジーのその行動に一切の価値を認めず、進まない研究に苛立ちを隠せずにいた。 一方、同地区の教会では司教が異端審問官を増員し、いよいよ異端への弾圧を強めようとしていた。
新人の異端審問官の教育実習を任されたノヴァク。淡々と女性の異端者を拷問する姿に衝撃を受ける新人審問官ら。中でもシモンは本当にこんなやり方が正しいのかと疑問を抱く。 一方のバデーニはいよいよ「地動説」が完成したことをヨレンタに報告し、オクジーとともに祝杯を挙げる。それぞれの今後の夢について酒場で語り合う中、現れるはずのない男が現れる。
ヨレンタの父は、よりによってノヴァクだった。バデーニが天文の研究をしていると知ったノヴァクは、念のため調べさせて欲しいと言い出す。バデーニはやむを得ず、ノヴァクを小屋へと案内する。室内をくまなく捜索し、異端研究の疑いはなしと判断するノヴァクだったが、そこにあるはずのない「何か」を見つけて密かに疑念を深めるのだった。バデーニとオクジーに最大の危機が迫る。
自らの命を賭してバデーニを逃がし、ノヴァクと対峙するオクジー。戦いの末、瀕死の重傷を負ったオクジーは長い夢を見る。目覚めるとそこは異端審問所の医療施設。ノヴァクがオクジーから話を聞き出すために敢えて生かしておいたのだ。だが、命懸けで何かを守ろうとした者に恐らく拷問は通じない。そう考えたノヴァクが取った行動とは――。
ノヴァクから苛酷な拷問を受け続けるオクジー。見かねたバデーニはついに自白してしまう。こうしてはるか以前から信念ある者らによって連綿と託されてきた地動説の資料は教会に押収され、バデーニとオクジーは死刑を宣告される。己の運命を受け入れる二人だが、地動説は決して終わらせない。その信念のもと、事前に仕掛けておいたある策に一縷の希望を託し、二人は絞首台へと上っていく。
異端に関わったとして拷問を受けるヨレンタだったが新人審問官シモンに助けられる。助任司祭アントニの計略により娘が火あぶりの刑に処せられたと思い込んだノヴァクは失意に沈み生きる気力を失ってしまう。一方、クラボフスキはバデーニの遺した手紙を見つける。地動説を終わらせないためにバデーニが仕掛けた秘策とは。
バデーニ、オクジー、ヨレンタの悲劇から25年。教会主流派の腐敗は極まり抵抗勢力が台頭しつつあった。その一派、過激なことで知られる「異端解放戦線」のシュミットは各地の審問所を襲撃し異端を解放して回っていた。ある日シュミットは聖堂を襲撃、書物を奪取する。そこには「地動説」を示唆する言葉が綴られており。
移動民族の聡明な少女・ドゥラカ。彼女は父を貧しさが故に喪ったことを悔い富を得ることを人生の目的として生きてきた。ある日ドゥラカは廃墟の街でシュミットが秘匿した書物と出合う。それは「地動説」という驚天動地の内容。この情報で金儲けが出来るかもと考えるドゥラカだがその場所には司教アントニも居合わせており。
叔父の裏切りにより窮地に立つドゥラカだが書物を奪還しにきたシュミットらによって事なきを得る。自分が無価値になるのを恐れたドゥラカは書物を燃やすことで「情報は私の頭の中だけにある」と交渉を持ち掛ける。シュミットはやむを得ず組織長のもとへ連れていくことに。その「異端解放戦線」の組織長は意外な人物だった。
「異端解放戦線」の組織長はヨレンタだった。彼女の目的は最新技術である活版印刷で「地動説」を世に広め同時に教会の不正や欺瞞を糺すことだった。一方、娘が死んだと思い生きる目的を見失ったノヴァクは酒場に入り浸りの日々を送っていた。そんな彼の前に立ち現れたのはかつて自身の手で終わらせたはずの「地動説」で。
「異端解放戦線」は活版印刷の準備を着々と進め印刷機のある工房へと合流することに。が、ヨレンタは一人アジトに残るという。ドゥラカはヨレンタからある手紙を託される。それはかつてラファウが遺した言葉だった。一方、憎しみに燃えるノヴァクは早くもアジトに迫っていた。悲しき再会の瞬間にヨレンタの取った行動とは。
ヨレンタが「地動説」を守るため選んだ悲しい結末。シュミットらは組織の本拠地で仲間らと合流を果たす。こうして活版印刷により『地球の運動について』の本は完成する。が、ある人物によって計画は瓦解。ノヴァクにアジトを知られてしまう。徹底抗戦か退却し態勢を整えるか。選択を迫られる中、ドゥラカがある提案をする。
ぶつかり合う「異端解放戦線」とノヴァク率いる騎士団。逃げるドゥラカとシュミット。ドゥラカの提案とは陽動作戦だった。ノヴァクの猛追にシュミットは力を振り絞る。逃げ延びたドゥラカが訪ねたのは司教のアントニだった。アントニにある取り引きを持ち掛けるドゥラカ。アントニが傾きかけた時ノヴァクが踏み込んでくる。
「君らは歴史の登場人物じゃない」――アントニの言葉はノヴァクにとって非情なものだった。ノヴァクはアントニに反旗を翻し、教会に火をつけて全てを葬ろうとするが、ドゥラカの反撃に遭ってしまう。ノヴァクの安否が不明なまま、教会は火の海に包まれていく。一方、瀕死の重傷を負いながらも逃げてきたドゥラカだったが。
1468年、ポーランド王国都市部。アルベルトは働きつつ天文への夢を捨て切れずにいた。ある日教会で司祭から告解を促され子供時代を語り出す。天文が好きなアルベルトに父親は家庭教師を手配するがその人物は成長したラファウだった。「疑うこと」と「信じること」父とラファウは対極の教えをアルベルトに言い聞かせる。
ラファウから学術系サロンに招待されたアルベルトは目を輝かせる。が帰宅した彼が目にしたものは信じがたい光景だった。苛酷な出来事によって進むことも退くことも出来なくなったアルベルトに司祭は優しく教え諭す。迷いの晴れたアルベルト。やがて彼が感じた「?」が世界を動かすことになる。物語は全てこの瞬間のために。