申し訳ない御社をつぶしたのは私ですは、私にとっては、とてつもなく共感できた本の1つです。

申し訳ない御社をつぶしたのは私ですは、私にとっては、とてつもなく共感できた本の1つです。

タイトル先行の本、キャッチコピーの勝利ですが、中身もなかなかです。

私自身もなんちゃってコンサルとしてしばらく働いていたことがあるので、言っていることはすごく理解できます。かつ、今はとある事業を軌道に乗せることに四苦八苦している状況で、この局面でわけのわからないフレームワークを持ち込まれたらかなわないなぁ、と正直思います。

キレイに整理されることと、事業で成功することは全く違うものだということを理解していない人が多すぎるんでしょうか。というより、そうじゃないと経営層や出資者のGOサインが出ないというのが理由なのかもしれません。

読み終わって心に残ったのは、以下の3つです。

  • 戦略や計画を立てたからと言って、その通りにはならないが、戦略や計画を立てるプロセスで頭を使うことは大切。(→ということは、コンサルに頼んじゃいけませんね。)
  • 目標を定量化して、厳格に運用すると、目標を達成するために、目標化されていない重要なことをないがしろにして、トータルでは逆効果となる。
  • 組織をうまく運営し、人材を育成するには、コミュニケーションをとることが一番である。

本書は、その著者が自ら「自分たちがコンサルタントとしてクライアントに勧めてきたことは、あれもこれも間違っていた」と懺悔した前代未聞の書である。「この30年、多くの企業に入り込み、『目標による管理』だの『競争戦略』だのとお題目を唱えて回ったすべての経営コンサルタントを代表してお詫びします」と告白したのだ。
著者は自らが経営コンサルタントとしてクライアントに勧めてきたさまざまなメソッドについて、その経緯と理論を振り返りながら、コンサルティングを受けた企業の顛末を詳細に語る。「戦略計画」「最適化プロセス」「業績管理システム」など、コンサルがどういう発想で改革を持ち込み、それが企業にどんな影響を与えているかを具体的に理解できるのも面白いところだ。現代の経営手法を根幹からひっくり返すような「告白」を満載した本書、コンサル業界だけでなく、いまのビジネス潮流そのものに一石を投じる一冊と言えるだろう。