- 2018/12/01
博報堂スピーチライターが教える短くても伝わる文章のコツ、すごく理解しやすい本です。
私はこういう本は好きですね。読んでも、あまり文章がうまくならないのが残念ですが、気づきは多いと思いま……
犯人は早い段階でわかっているんですが、動機が隠されているのと、いつ、気づくのかという点でハラハラします。そういう楽しみ方なのかもしれません。
ただ、種明かしが早すぎるので、終わりのほうのテンポが遅く感じたのがいまいちなのと、いくらなんでも、金城武のアル中は、ちょっと、大袈裟すぎる演出な気がしました。
恋人の自殺がキッカケでアルコール依存症となり、警察を辞職して私立探偵になったポン(金城武)。そんな彼のもとに警察の時に上司だったヘイ(トニー・レオン)の妻スクツァンから捜査の依頼が。実はスクツァンの父親チャウは億万長者なのだが、その父親が自宅で惨殺され、その死に不審な点があるというのだ。しかしそのことに夫のヘイは今ひとつ関心を示してくれないというのだ。一方、ヘイはヘイで誰にもいえぬ秘密があった……。やがて捜査を開始したポンは事件の背後にはとんでもない過去の出来事があったと知る。
と書くと何やら犯人探しサスペンスのような印象を受けるかもしれない。だが実際はチャウの殺害犯が誰なのかわかった状態でスタート。実はストーリーの根本はとてもシンプルなものなのだが、それを構成を入り組ませることで複雑にし、観客を混乱させつつ最後まで引っぱっていくのだ。つまり本作は傷ついた男たち、ポンとヘイを中心に様々なことが起きながらも生きていけねばならない人間の“空しさ”をハードボイルドな香りのする人間ドラマとして描き出したもの。個人的にはもう少しサスペンスならサスペンスで、人間ドラマなら人間ドラマでとビシッと筋を通してほしい気がしたが。(横森文)