
テンポが遅くて、ちょっとダラダラ感があったのと、最後のエッセイが、あまり良いと思わなかったのが、あまり良いと思わない原因な気がします。
あのエッセイ、どこが良いのかわかりませんでした。
恋人アランを亡くしショックに打ちひしがれ、現実逃避するように過食を繰り返してきたチャーリーは、大学のオンライン講座で生計を立てている教師。歩行器なしでは移動もままならないチャーリーは頑なに入院を拒み、唯一の親友でもある看護師リズに頼っている。そんなある日、病状の悪化で自らの余命が幾ばくもないことを悟ったチャーリーは、別れて以来長らく音信不通だった17歳の娘エリーとの関係を修復しようと決意する。ところが家にやってきたエリーは、学校生活と家庭で多くのトラブルを抱え、心が荒みきっていた……。
『ザ・ホエール』(The Whale, 2022 年/A24)
ダーレン・アロノフスキー監督 × ブレンダン・フレイザー主演
――“体重約 600 ポンド(270 kg)の男が、残りわずかな人生で娘との絆を取り戻そうと足掻く”ワンシチュエーション劇
1. あらすじ(核心の結末は伏せています)
| 序盤 | 2016 年・アイダホ州。莫大な体重のため自宅アパートから一歩も出られない大学オンライン講師チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。心臓発作で余命わずかと悟るが、医療は拒否し自罰的な過食を続けている。 |
| 中盤 | 唯一の友人で看護師のリズ(ホン・チャウ)が命綱。チャーリーは「最後にやり残したこと」として8年前に置き去りにした娘エリー(セイディ・シンク/17歳)を呼び出し、大学進学用の作文添削を条件に再会を試みる。 |
| クライマックス | 娘との衝突、宗教青年の訪問、恋人を失ったトラウマ――狭い部屋の中でチャーリーの“罪と赦し”が噴出。やがて彼は自らの身体と引き換えに、愛を証明しようとする。 |
テーマ:自己嫌悪と贖罪/肥満・同性愛者差別/家族再生
演出の特徴:舞台劇原作らしく全編ほぼワンルーム、4:3の狭額比。体重増加は特殊メイク&ボディスーツで再現。
2. 評価・世間のリアクション
指標 | 数値・概況 | 所感/論点 |
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Rotten Tomatoes | 批評家 64 %・観客 91 %(347 レビュー)Rotten Tomatoes | 俳優陣と感情の力強さを称賛する声多数。 一方 “肥満描写は差別的” とする批判も根強い。 |
Metacritic | 60/100(批評57件 “賛否両論”)Metacritic | “心を抉る演技” vs “演出が過剰に残酷” の温度差。 |
IMDb | 7.6/10(25万票)IMDb | 一般観客の満足度は高め。 |
賞レース | アカデミー賞 主演男優賞・メイクアップ&ヘアメイク賞 受賞、助演女優賞ノミネート(Hong Chau)Wikipedia | “フレイザー完全復活” の象徴に。 |
好意的レビュー(抜粋)
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「胸を張って“人間ドラマ”と呼べる慈愛の物語」(The Telegraph)
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「フレイザーは心を砕かれるほど正直だ」(Chicago Sun‑Times)
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観客レビュー RT:「数日間思考を占拠された。偏見を揺さぶられる」
批判的レビュー(抜粋)
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「“太った人は見世物” 的まなざしが抜けない」(Polygon)
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「痛みを扇情的に消費している」(Vanity Fair)
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Roxane Gay(NY Times)は“反脂肪差別”の観点から「共感を装った搾取」と糾弾
総括:
演技と感情は絶賛、身体描写とカメラの倫理には賛否両極という“ポラライズ系”作品。
3. この映画が刺さった人に勧めたい 5 作品
作品 | 似ている点 | ひと言推しコメント |
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『レスラー』(2008) 監督: ダーレン・アロノフスキー |
●肉体に鞭打つ中年男の贖罪劇 | 同監督・同じ“舞台はほぼ一部屋”の濃密人間ドラマ。 |
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013) | ●余命わずか/肉体が蝕まれる主人公 | マシュー・マコノヒーの激変演技と「生き抜く執念」が響く。 |
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016) | ●喪失と罪悪感を背負う男が家族と再接続 | 赦しを拒む主人公と静かな涙の対比が光る。 |
『ROOM/ルーム』(2015) | ●閉ざされた室内で育まれる親子の再生 | ワンシチュエーション→外界という構成と“窒息感→解放”のカタルシスが共通。 |
『Precious プレシャス』(2009) | ●肥満と虐待が交差する過酷な家庭環境 | 当事者視点の痛烈さと希望のラストが“重いのに前を向ける”系。 |
ワンフレーズまとめ
『ザ・ホエール』は “容赦ない接写” と “俳優ブレンダン・フレイザーの魂” がぶつかり合う、賛否を巻き起こした密室ドラマ。
「極限まで追い込まれた人物が、愛と赦しで一歩を踏み出す物語」が好きなら、上記 5 本もきっと心に刺さります。