星兎、とてもいい本。もっとメジャーになってもいいと思う。常識にとらわれないことの大切さと生まれてきたことへの感謝がにじみ出ています。

最初はちょっと読みにくいです。現在と過去の場面がめまぐるしく入れ替わるから、状況を正確に把握しにくかったためです。

「うさぎ」と「ぼく」が出会う場面は、星の王子さまを彷彿させる感じで、常識にとらわれている自分を反省しつつ、微笑ましく読んでいました。

それが、最後のほうは、そもそも「うさぎ」がなぜ生まれてきたのかという、生存理由という重いテーマになってしまいました。結構、泣けます。

理由はともあれ、会ったのは何かの縁、その縁を大切に、いまを生きていきたいと思いました。

言葉であまりうまく説明できないのが、もどかしいのですが、とても良い本です。子供に読ませたい本ですし、子供の頃、思春期の頃、大人になった後の3回読んで欲しい本ですね。

ぼくたちは、みんな『うさぎ』なのかもしれない。ぼくだけじゃないよ。どこから来たのか、どこへいくのか、だれだって知らないんだ。いつ、この地上から去ることになるのか…も。宇宙一せつない、物語。「ぼくをわすれない?」「忘れないですむものなら、宇宙が終わるまで」そして、永遠が見えてしまいそうな、青。

児童書は児童だけが読む本ではありません。児童書というのは、かつて児童だった人が読む本です。児童書を読むと、子供の頃を思い出します。子供の頃の自分に届きそうで届かなくてものすごく切なくなります。でも、児童書はすごく純粋だから、大人のドロドロした世界に疲れた時にちょっと読んでみると癒しになります。この本は、本当に癒しになります。《――少年ユーリと等身大のうさぎ。2人の出会いは突然で、その別れはユーリの心に、何かあたたかいものを残した……。美しく、純粋な、宝石のような物語――。》ぜひ、大人の方に読んでいただきたい、そんな一冊です。あまりにもステキな物語だったので、いろんな人に無理やり押し付けて読ませたりしました(笑)。プレゼントに最適な本です。大人になってどこかに忘れてきてしまった純粋な心を思い出してください。