コーチされているのに、気づかないほどのコーチング。
最終的にはこの領域まで、たどり着きたいですが、まずは、成功体験を頭ごなしで押し付ける、というのは、やらないように気を付けないといけませんね。良かれと思ってやりがちですから。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2019/03/08/___split_41/
「このままでは、自分が選手の時に『へぼコーチ』と思っていた人のようになってしまう可能性があります。”へぼ”って言い方は悪いですけど、要は、経験でものを言う人。『オレはこうやったからお前もこうやれ。絶対こっちのほうがいいから』とは言うものの、なんでやらないといけないのか、納得のいく説明をしてくれない。それも頭ごなしに言われるから腹が立つんです」
「それはそうだと思いますよ。大学院のとき、コーチングの授業の中に<いいコーチに育てられた選手はいいコーチになる>というような回があったんですけども、僕はそうじゃないと思ったんですよ。やっぱり、選手は自分のことしか考えてなくて、いいコーチングされたことなんか覚えてないし、いいコーチはそれを気づかせちゃダメだ、というふうに思ってたので……。だから、その授業ではすごい議論になって面白かったんですけども」
「あるかもしれないです。でも、本当のところはわからないです。自分で気づいてやっているように感じているけれども、実は気づかされていることがあると思うので。僕はまさにそこがポイントだと思うんですよ。『自分でやったんだ』っていう感じ、難しい言葉で自己効力感っていうんですかね。『自分はできるぞ』というような、そんな感じを選手が持てれば、モチベーションが上がったり、自信がついたりしていくので。自分でできた、自分でやった、という感覚に持っていくのが、コーチのいちばんの役目だと思っています」
逆説的だが、いいコーチほど、選手から見てその存在は消える――。実際にはいるのに、いない。そんなことがひとつ言えそうだ。