- 2019/12/21
AmebaTVか何かで、大昔のNHK杯の将棋、福崎文吾七段対羽生善治四段を見たら、びっくりするぐらいの羽生の強さに感激しました。
1986年の放送だって。羽生の若さにびっくり。まだ四段だし。あたりまえだけど。 そして、強い。圧勝だ……
将棋好きの長男ですが、近所に手頃な将棋道場とかがないので、専ら私が相手をするか、iPadの柿木将棋が相手するかしかなくて、かわいそうだなと思っていました。そんなときに、JTの子会社であるテーブルマーク主催の小学生将棋大会が開催される、しかも、無料と聞いて、条件反射的に申し込みしました。
この大会、高学年と低学年の2つに分かれていて、低学年だけでも東京大会で1000名以上の参加なので、常識的に考えて勝てるはずもないのですが、格闘技の煽りVTRのように、優勝したらどうすると本人に聞きながら、家で勝手に長男と盛り上がっていました。本音としては、予選突破が目標で、最悪でも1つは勝てるといいなぁ、と思っていました。
そんなこんなで当日。東京ビッグサイトに行きました。
すごい人、人、人。その人を見ただけで、気分が悪くなるぐらい。
開会式も谷川浩司らしき人や、協賛のテーブルマークの副社長の長い話を頑張って、聞いて、いよいよ、本番です。それにしても、光速の寄せの谷川浩司がこんな役割になっていることにびっくりしました。森下棋士の「勝敗に関係なしに子どもたちの労をねぎらってあげてください。ただし、集中力や礼節を書いていた場合は叱ってください。」という主旨のいい話は良かったです。
親の私が緊張して、どうするんだという話ですが、なんとなしに胃が痛くなりました。器が小さいですね。最初の試合、秒殺に近い圧勝で勝ち、満面の笑みの長男を見て、自分が勝ったかのように嬉しかったです。
結果、2勝1敗で予選落ち。3連勝しないと、本戦トーナメントに出場できないというのは、かなりのハードルの高さなので、仕方ないです。1敗は銀をタダで取られたとのことで、まあ、仕方ないですかね。相手も3年生だったみたいですし。
その後、自由対局といって、本戦トーナメントに出場できなかった人たちで集まって、対局することができて、長男が生き生きと将棋をしている姿を見ることができて、それだけで満足です。普段は少し引っ込み思案でモジモジするところがあるけれども、将棋を指すため、恐らくは、将棋を指すと、駒の形をした消しゴムを貰うため、すぐに相手を見つけて、勝負する姿は、子どもの成長を感じられ、うるうるしました。この勝っても負けても景品がもらえる仕組みはよく考えられていて素敵ですね。
小学校6年生をはじめ、高学年の子どもと試合している、こけしのようにちっちゃい長男は、かわいくもあり、頼もしくもありました。超親バカですが。
自由対局の結果は、7勝4敗。合計で、9勝5敗。よく頑張りました。本人はあと2局で王将が貰えたのにと、ちょっぴり不満だったようですが、時間切れだったので仕方がないですね。ここまで、やったことは褒めてあげたいです。
長男に来年も参加するって聞いたら、「うん」と即答だったので、連れて来た甲斐がありました。将棋を指す人はいいですけど、遠巻きに見ている私は、ひたすら立っているだけで足が棒になったので、この一言で救われました。実際には、彼の表情を見ただけで、もう満足なんですけどね。サッカーといい、将棋といい、集中している子どもの表情は、無敵ですね。
お腹がすいた、パフェが食べたいというので、奢ってあげました。昼ごはんもそこそこに将棋しに行っちゃうほど、集中していた姿を見せてくれた感謝です。
結局、私自身は飲み始めちゃいました。ビールに泡3杯。負けちゃったけど、それだけ嬉しかったということです。
ところで、将棋の内容ですが、同伴者は遠くから見ることしかできなくて、実際に盤面を見ることはできなかったので、何とも言えませんが、遠くから見た長男の腕の位置や動きから察するに、ひたすら棒銀で攻めまくっていたみたいです。実際に、そう言っていました。棒銀が成功すれば、圧勝。銀を取られたら、惨敗って感じです。将来の加藤一二三、神武以来の大天才を彷彿させていたかどうかはわかりません。
だから、勝負がつくのも速く、予選でも、全試合5分未満で決着していました。ほとんど、ノータイムで指していた感じですし。でも、それはそれで子供らしくていいと思ってます。本当は、もっと慎重に指せば勝率が上がる気もしますが、子どもが、特に、低学年の子どもが長考って、なんか変な気がします。
近くにいた他の子の対局を見ていて気付いたのですが、たいして強くないのに、矢倉とか美濃囲いとか穴熊とかに入る子が一定数います。これは将棋教室で教えるんでしょうか。それとも、親なのかな。もう、囲いに入ることが目的になっていて、飛車がある側に穴熊に入ってみたり、相手が飛車を振っているのに飛車先に美濃囲いを持って行ったり、なんじゃそりゃって感じです。
そういう2人が対戦すると、一見して、本格的な戦いのように見えるけど、実は全然違うんですよね。できれば、子供はそんなつまらない将棋はしないで欲しいですね。ちなみに、私は将棋を覚えたのが遅かったので、本を読んで覚えたので、つまらない将棋を指していたような気がします。
大人びた定跡は、強くなってから学べばいい気がするんですよ。最初は本能のおもむくままに戦って、その後で、定跡を知り、感動するっていうプロセスが一番いい気がします。ちょうど、喧嘩ばかりしていた不良がボクシングでチャンピオンになるようなイメージです。
初段になるまでは、棒銀と中飛車と石田流だけしかやっちゃいけない、というぐらい極端でもいい気がします。同様に、例えば、勉強でも、初めは非効率な解き方をしていたけど、あるとき公式ってやつを知って、感激するとか、例えば、仕事でも、自己流のやり方でマネジメントしていたら、世の中的に標準化されたいたメソッドを知り、顔を赤らめるとか、というのが重要なんじゃないでしょうか。この先人の知恵に触れて、感動する機会は奪っちゃいけないと思っているんですが、どうでしょう。
ということで、今日は楽しい1日でした。ストレッチしてもとれないぐらいに、足がすごく疲れちゃいましたが。長男は、どれもプロになって、それで生活できるレベルじゃないのですが、人生を楽しむという意味で、当面、将棋とサッカーとミュージカルを満喫してくれればいいなぁ、と願っています。