藤井四段、負けちゃいましたね。これからは少し落ち着いて将棋を指せるので、ある意味、良かったのかもしれません。

藤井四段、負けちゃいましたね。これからは少し落ち着いて将棋を指せるので、ある意味、良かったのかもしれません。

負けても29勝1敗という驚異的な成績です。そして、佐々木五段の本気っぷりに先輩としてのプライドを感じました。

 将棋の史上最年少棋士で、公式戦連勝記録歴代単独1位の29連勝を達成した藤井聡太四段(14)が2日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段(22)に101手で敗れてデビュー以来初黒星を喫し、連勝が止まった。竜王戦では姿を消すことになり、今年中のタイトル獲得はなくなった。残り時間は佐々木五段が25分、藤井四段が11分。

 午後9時31分に終局。藤井四段は時折敗戦の悔しさをにじませながらも、落ち着いた表情で受け答えをしていた。

 この日の藤井四段は、将棋会館近くの駅から連盟職員が同乗してタクシーで会館に到着した。20分以上前に対局室に入り、佐々木五段を静かに待った。

 振り駒で後手番となり、佐々木五段の注文に乗って相掛かり戦を受けて立った。序盤戦から時間を使って応対し、早い段階から激しい展開に突入した。

 夕食休憩後、次第に形勢が芳しくないことがはっきりしてきた。小刻みに体を動かして打開策を考え、残り1時間を先に切って終盤戦に突入した。

 終局直前、それまで時間を使っていた両者が、結果を感じ取ったかのように急に早く指し手が進んだ。自玉の詰みを確認した藤井四段が上着をはおり、お茶を飲んで「負けました」と駒台に手を置いて投了の意思表示。佐々木五段も礼を返し、ここで連勝が止まった。

 一方、佐々木五段にとって、8歳年下の藤井四段は意識する相手。藤井四段がプロになる前の昨年、愛知県岡崎市での将棋イベントで佐々木五段-藤井三段(当時)の対局があり、佐々木五段が勝っていた。

 藤井四段の24連勝がかかった6月10日の叡王戦予選は、対局室の片隅で正座をして開始を見守った。同26日の29連勝目の対局でも、感想戦を真剣に聞いていた。

 藤井四段は昨年10月に四段に昇段し、同12月24日に当時現役最年長の加藤一二三九段(77)に勝って以来、公式戦では勝ち続けていた。先月26日に、神谷広志八段(56)が1987年に達成した28連勝の記録を30年ぶりに更新した。

 藤井四段の連勝は社会現象となり、一戦ごとに話題になった。連勝は途切れたが、半年で29勝1敗は驚異的なペースで、今後どんな記録を達成するか注目される。【山村英樹、丸山進】

https://mainichi.jp/articles/20170703/k00/00m/040/110000c