そもそも、東大とか、ハーバードとか肩書は要らないし。
そして、田舎暮らしも、甘く見すぎで、経済的に豊かな夫婦だから、いつでも都会に戻ってこれる、どこででも仕事ができる環境だからできたことだと思います。フツーの人が真似したら、失敗する確率がそこそこ高いんじゃないでしょうか。
また、地方公立出身者が、優秀というのも、私の肌感覚とは違います。地方公立出身って、どの土地では、大天才として期待されて続けているせいなのか、上昇志向が強いのは良いけれども、融通が利かなくて、ひたすらストイックに努力するだけ、という印象です。
ひとことで表現すると「鬱陶しい」です。もっとも、有名進学校出身者は「人生甘く見すぎ」なので、どちらが良いのかは、わかりません。
ただ、地方公立出身者を無条件に礼賛するのは、どうなのかな、と思います。
https://dual.nikkei.com/article/106/93/
大学卒業後、日系企業を経てMBA取得のため米ハーバード大学に留学し、外資系企業を経て紅茶のネット通販会社を設立し、現在は昭和女子大学客員教授の藻谷ゆかりさん。ハーバードMBA時代に出会ったご主人(エコノミストの藻谷俊介さん)と夫婦共通の信念を貫き、3人のお子さんたちが小学生の時、中学受験戦争が過熱する都市部から地方へ移住するという選択をしています。「分からないところは先生や両親に聞く。そのほうが最終的な学習能力が付く」「東大やハーバードで“この人は!”と感じた人には、地方の公立校出身者が多かった」と、明言がたくさん飛び出る藻谷さん家族のブレない教育論についてもお聞きしてきました。
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私が「わが子を田舎で育てよう」と決定的に思ったのは、東大時代に出会った同級生たちの経歴も関係しています。
「この人はすごいな」という人は地方の県立高校の出身の人が多かったんです。もちろん、人数が多いのは開成や桜蔭という中学受験の私立御三家出身の人たちなのですが、「この人はちょっと違うな」と思うような抜き出ている人は、地方などの公立高校出身でした。
これは東大の教授も言っていたのですが、素晴らしい論文を書いたり、大学院で研究成果を出したり「これは!」と思う人は、地方の県立高校出身だったり、進学校として有名ではない学校出身だったりします。自分で学ぶ力、伸び伸び育ったからこその発想力、切り開いていく力などがある。このような現実を知っていたのは大きいかもしれないですね。
東大に入ることが全てという意味ではなくて、本当に学ぶ力を身につけるという意味で、「地方の県立高校でも問題ない」「首都圏の中学受験をさせる必要はない」という選択ができたと思います。長野への移住は、過熱する中学受験からの“疎開”という意味もありました。
私自身はいわゆる都心部の進学校から東大に入ったタイプで、周囲が必死に走っているから自分も一緒になって走り続けて、その結果として東大にたどり着いていたという人間でした。正直、私のような凡人は、そうでもしないと東大には入れなかったかもしれません。そういう意味では、都心部の進学校のメリットもよく分かっていたのですが、子どもたちには受験はさせたくないという気持ちがありました。