あまり期待せずに読み始めたけど、いろいろと考えさせられることも多く、ためになりました。
[amazonjs asin=”4492501878″ locale=”JP” title=”経営の力学―決断のための実感経営論”]
ロングセラー『経営を見る眼』の姉妹版。前著は組織の構造・機能を読み解く画期的入門書であったが、本書は組織に作用する力を読み解き、組織を動かす決断の勘所を示す一冊。伊丹流の経営の原理・原則がわかる。
力学の視点から現場の複雑な現実を読み解く。カネの論理、情報の論理、感情の論理が絡み合って生まれる「経営の力学」。この力学を見据えた上で、決断を行なうための1冊。
私自身が感じたことを、備忘録として目次に箇条書きにして記録しておきます。
力学という視点・・・比喩としては面白いけれども、力学で全部を表現しようとするのは難しい気がします。
第1部 組織と人間の力学
人は性善なれど弱し・・・性弱説って、なるほどなと思いました。善にもなるし悪にもなるかよわき存在というのは同感です。だから、必要以上に追い込まないような柔らかいマネジメントシステムが必要なんだと思いました。この柔らかいマネジメントシステムを、コントロールシステムと言ってもいいのですが、どう構築するのかが成長のポイントなのかもしれません。あとは、揺さぶりのマネジメント(かき回す→切れ端を拾い上げる→道をつける→流れをつくる→留めを打つ)というのも納得で、自分のスタイルとして確立したいと思いました。
構造が情報とパワーを歪める・・・組織を作ると、そこで、セクショナリズムが生まれるわけですが、組織で区切らないと有効なマネジメントできないから、難しいところですね。
現場と経営との距離・・・断片の情報から全体を類推する力が経営者には必要なんですね。あとは、組織をなるべくフラットにするか、もしくは、非常にフランクな経営者を演じるという対策もあるかもしれません。
人を見る眼、人を育てる眼・・・斜め上の上司の役割が大きいというのは納得。でも、人が育つ3つの条件が、「高い志」「大きな仕事の場」「大きな思索の場」とあるけど、これはちょっと疑問。私は「成功体験」だと思っています。「成功はすべてを正当化する」というのはある意味で真実、少なくとも、説得力のある論理だと思います。
第2部 市場と戦略の力学
顧客インの技術アウト・・・マーケットインで考えるという表現がくせ者だという意見には同意。まだ、マーケットがないときがチャンスですから。
人の行く裏に道あり花の山・・・人と違うことをやるというのは良い戦略だとは思うけど、勇気のいる戦略でもあると思います。なかなか決断できないですよね。
神は細部に宿る・・・((+_+))
カニは甲羅よりも大きな穴を掘れ・・・オーバーエクステンションが大きな成長には必要というのはそうだと思うけど、なんとなく、しっくりこないですよね。
第3部 資本と社会の力学
資本市場と向き合う・・・((+_+))
M&Aの心理学・・・日本とアメリカでの合併と買収の違いは、確かにそうだと思いました。
グローバルで、ボーダーフル・・・カネはボーダレスだけど、ヒトはボーダフルというのは、確かにその通りですね。グローバル化が進めば進むほど、ローカライゼーションにニーズが高まる気もします。グローバルで勝つにはローカルで強くないといけないですね。
お天道様に恥じない経営・・・本当のところ、どうなのかはわからないけど、そうありたいですね。
第4部 経営改革の力学
歴史は跳ばない、しかし加速できる・・・((+_+))
「ここまでやるか」のつるべ打ち・・・徹底することは難しいですね。例外を認めることは安易だし、軋轢も生じないので安易な意思決定ですから。
改革リーダーの三つの方程式・・・切断するだけのバイタリティがあるか、原理があるか、決断ができるか、この3つを方程式とすることに違和感はあるものの、バイタリティ・原理・決断が改革の基本要素であるということは納得です。
第5部 決断の哲学
決断の本質・・・メンタルマップが歪んでいることを認識しつつ、決断(=判断+跳躍)するということが大切
跳躍の哲学・・・株主じゃなくて社員のためというのが本当の大義な気がしました。もちろん、投機的な動きをしない株主なら別ですけど。
決断の器量・・・引き際の話はその通りと思えますが、実践できるかどうかは、かなり難しいですね。
経営の公理・・・「企業の本質」「現場の本質」「経営の本質」の3つ。再度、自分の中で消化が必要そう。
(さらに…)